化粧品の広告作成は、商品の魅力を伝える大切な仕事ですよね。
でも、ちょっとした表現の「強調」が、実は法律違反につながる可能性があることをご存存じでしょうか?
今回は、日本化粧品工業連合会の「化粧品等適正広告ガイドライン」に基づき、特に注意が必要な「強調表現」について、具体例を挙げて解説していきます。
消費者の皆さんに正しく情報を届けるためにも、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
そもそも「強調表現」ってどんなもの?
まず、「強調表現」とは何かを確認しておきましょう。
広告において、特定のメッセージを消費者に強く印象付けようとする手法全般を指します。
具体的には、以下のような表現が「強調」とみなされる可能性があります。
- キャッチフレーズ:人の注意を引くように工夫された印象的な宣伝文句
- 文字の場合:
- 他の文字と比較して大きい
- 色が濃い(または淡い)
- 色が異なる
- 文字の上に点を打つ
- その他、視覚的に目立たせる工夫全般
- 音声の場合:
- 大きく発音する
- 一音ずつ切って発音する
- 強く伸ばす
- その他、重ねて表現する場合など
これらの強調表現は、使い方を誤ると消費者に誤認を与え、「優良誤認表示」として景品表示法の規制対象となる可能性があります。
これはNG!化粧品広告の「強調表現」パターン
ここからは、特に注意が必要な強調表現の具体例と、そのリーガルチェックのポイントを見ていきましょう。
1. 特定成分の「無添加」表現、やりすぎ注意報!
「香料・着色料を含有していない」といった「無添加」表現は、消費者の安全意識に応えるものとしてよく使われます。しかし、その表現方法には注意が必要です。
特定の成分が無添加であることの強調表現はできません。
特に、「100%無添加」や「100%ピュア」のように、必要以上に無添加であることを強調することはNGとなります。
また、
「肌のトラブルの原因になりがちな香料・着色料を含有していない」
といった、含有していない成分についてのネガティブな表現がある場合は、その成分を使用している他社製品への誹謗につながるおそれがあるためNGです。

香料や着色料以外にも、酸化亜鉛やパラベン、アルコールなど、様々な成分が該当します。


キャリーオーバー成分とは?
化粧品に原料として意図的に配合したわけではないのに、原料の製造過程で副次的に混入し、最終製品にも微量残ってしまう成分のことを指します。
たとえば…
- 防腐剤を含んだ原料を使った結果、その防腐剤が製品中にごくわずかに残る
- 抽出溶媒や安定剤が原料に由来して残留している
といったケースです。
2. 「低刺激」?「刺激が少ない」?安全性表現は慎重に!
「低刺激」「刺激が少ない」といった表現を強調して表現すると、安全性について消費者に誤認を与えるおそれがあるためNGです。
また、客観的に低刺激性が立証されている必要があります。
- 客観的に立証されているか
- キャッチフレーズとして強調されていないか

成分について知識があると、つい「これは刺激が少ない成分ばかり使ってる!」と思って、そこを強調したくなりますよね。
しかし、客観的に立証されていない場合には、強調表現でなくとも表現することはできません。
3. 「アレルギーテスト済み」と書くなら「ただし書き」も忘れずに!
「アレルギーテスト済み」など、「〇〇試験済み」の表記をする場合には、強調表現になっていないことを確認するほか、以下のようなデメリット表示を近くに同等程度の大きさで明示することが必要です。
- 「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」
- 「全ての方にコメドが発生しないということではありません。」
- 「全ての方に皮膚刺激が発生しないということではありません。」



ノンコメドのテストについては、「ノンコメド」と単体で表記することも禁止されています。
「ノンコメド」だけ表記されていると、効能効果として認識されてしまうおそれがあるからです。
4. 「効能評価試験済み」も強調禁止!
3の「〇〇テスト済み」と似ていますが、「効能評価試験済み」の表記も強調表現NGです。
また、「効能評価試験済み」の表記は、必ず対象となる効能の近くに記載する必要があります。
効能効果を保証するような表現や、他の効能への誤解を与えるような表現も禁止されています。
6. 「実感」という言葉、使い方を間違えるとアウト!
化粧品の効能効果や安全性についての保証として捉えられる「実感」も、強調表現はNGです。
また、「実感」というワードはよく体験談やお客様の声として使用されるパターンが見受けられますが、体験談では効能効果や安全性について表現すること自体がNGです。
「肌がうるおうのを実感しました。」
「目の下の小ジワにうれしい変化がありました!」等
体験談に「実感」というワードが入っていたら要注意です。

「個人の感想です」等の付記をしても、法律で決まっているNG表現を使えるようになるわけではありません。
体験談を表記する際には内容に注意しましょう。
まとめ
化粧品広告における「強調表現」は、商品の魅力を伝える上で強力なツールとなり得ます。
しかし、その使い方を誤ると、意図せず法令違反となり、企業の信頼を損ねてしまうリスクがあります。
常に「消費者にとって分かりやすいか」「誤解を与えないか」「客観的な根拠があるか」という視点をもって、広告表現をチェックすることが重要です。
適切な表現で、消費者に安心して商品を選んでもらいましょう!




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