SNSでよく見るNG表現とは?安全な情報発信のために知っておきたい広告規制

法規制・ガイドライン解説

最近、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのSNSで、商品やサービスに関する情報が頻繁に目につくようになりましたよね。

特に美容や健康に関する投稿は、「すごい効果!」や「これを使えば間違いなし!」といった目を引くコピーが使われていることも多いのではないでしょうか?

しかし、残念ながらSNSで見かける表現の中には、知らず知らずのうちに「広告規制」に違反しているものが数多く存在します

なぜなら、人の目を引く表現は、時に法律やガイドラインが定めるルールを逸脱してしまうことがあるからです。

この記事では、

  • なぜSNSの広告表現が問題になりやすいのか?
  • 具体的なNG表現とその理由
  • 安全な情報発信のために気をつけるべきポイント

について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

あなたの発信が、意図せずして「NG表現」になっていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。

なぜSNSでの広告表現は特に注意が必要なの?

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品といった「医薬品等」は、その品質、有効性、安全性を確保し、使用による保健衛生上の危害の発生や拡大を防ぐために、「医薬品医療機器等法」(薬機法)によって厳しく規制されています。
これらの製品の広告は、虚偽や誇大な内容にならないよう、また適正さを保つために「医薬品等適正広告基準」によっても規制されています。

SNSも、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイトなどと同様に、「広告」とみなされればこれらの規制の対象となります。特にSNSは、情報が瞬時に拡散し、個人が気軽に発信できる特性から、誤解を招く情報が広がりやすいという側面があります。

薬事行政機関からも、新規参入者の増加や通信販売の拡大に伴い、広告主による内容チェックが甘くなり、虚偽・誇大広告が目立つようになっているとの指摘を受けています。

SNSでよく見るNG表現の具体例とその理由

ここでは、特にSNSで問題になりやすい表現について、その理由とともに見ていきましょう。

1. 効果・効能の「保証」や「最大級」の表現

「絶対に治る!」「最高の効果を実感!」「シミが消える魔法のクリーム」「業界No.1の安全性!」 といった表現は、消費者に対して効果や安全性を保証したり、他製品よりも優れていると誤解させたりする可能性があるためNGです。

種類NG例NG理由
効果保証系「絶対に治る!」効能・効果の保証は薬機法で禁止
安全性保証系「業界No.1の安全性!」根拠なく他社より優れていると誤解させるためNG
医薬品的表現「しわが完全に消えて若返ります!」治療的効果は化粧品で認められない
人気訴求+保証系「世界中で大人気になるほどの効果」人気の事実はOKだが、効果保証はNG

2. 利用者の「体験談」や「ビフォーアフター写真」

「私も使っています!肌がワントーン明るくなりました!」 や、使用前と使用後の肌の写真を並べて劇的な変化を見せる投稿も、多くの場合NGとなります。

種類NG例NG理由
体験談による効果保証「私も使っています!肌がワントーン明るくなりました!」効能効果や安全性を保証する印象を与えるためNG。
体験談+成果数値「12時間経ってもメイクが崩れなかった」数値や大幅な変化を示す体験談は、科学的根拠のない効果保証とみなされるためNG
ビフォーアフター写真+効果保証使用前後の顔写真と「一瞬でたるみが解消されました!」治療や効果に誤解を与えるビフォーアフター写真は禁止。
化粧品のメーキャップ効果など物理的変化は事実の範囲であれば可だが、保証表現はNG

体験談の規制については、以下の記事も参考にしてください。
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3. 「デトックス」「ピーリング」「幹細胞」などの暗示的な表現

特定の成分や施術に関して、化粧品の範囲を超える効果を暗示する表現もNGです。

種類NG例NG理由
医薬品レベルの効果暗示「体内の毒素をデトックスして美肌に!」「デトックス(解毒)」は医薬品の効能に該当し、化粧品では使用できない表現
医療行為の暗示「ケミカルピーリング効果!」「ケミカルピーリング」は医療行為のため化粧品では不可。
物理的な洗浄・拭き取りによるピーリングであれば、明示すれば使用可能。
細胞レベルの変化暗示「話題の幹細胞コスメで細胞から若返る!」幹細胞や細胞由来の効果は化粧品の効能範囲を逸脱。
成分説明は有効成分と誤認されないよう配合目的を併記する必要あり。
また、若返り効果も化粧品の効能効果の範囲を逸脱。

4. 身体の構造・機能への影響を謳う表現

化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。そのため、身体の構造や機能に直接影響を与えるかのような表現は認められません。

種類NG例NG理由
痩身・脂肪燃焼の暗示「顔の脂肪を燃焼して小顔に!」
「これで太ももスッキリ!」
「痩身」「顔痩せ効果」「スリミング」「ファーミング」「セルライト」などは、身体の構造・機能に影響する印象を与え化粧品の定義外。
ただし「小顔に見えるメーキャップ効果」など物理的変化であれば可
育毛・発毛効果の暗示「まつ毛がぐんぐん伸びる!育毛・発毛効果のあるまつ毛美容液」化粧品ではまつ毛に「はり・こし・つやを与える」効能は可だが、「育毛」や「発毛促進」は不可。
医薬部外品の育毛剤は頭髪用であり、まつ毛用効能は承認されていない

5. 医療機関の広告で特に注意が必要なNG表現

医療機関のSNS広告も、医療広告規制の対象となります。

上記のような誇大広告や体験談、ビフォーアフター写真の他にも、以下のような表現がNGとされています。

種類NG例NG理由
医療機関の優位性誇張「当院が地域で最も優れた医療を提供します」
「日本一の医師が在籍!」
他院と比較して自院が優良である旨の広告は禁止。
事実であっても「最上級」表現や根拠のない「No.1」表示は不可
著名人との比較・利用「この治療を受ければ、芸能人の〇〇さんのような美肌になれる!」著名人の名前を利用して他院より優れている印象を与える表現は、患者を不当に誘引するおそれがあり禁止

安全な情報発信のために今日からできること

SNSで安全かつ効果的な情報発信を行うためには、以下のポイントを意識しましょう。

  1. 「客観的な事実」に基づいた表現を心がける
  2. 製品の「定義」や「承認された効能・効果」の範囲を理解する。化粧品と医薬部外品では、認められる効能・効果が異なります。
  3. 「効果を保証する表現」や「最大級の表現」は避ける
  4. 「体験談」や「ビフォーアフター写真」は慎重に扱う。特に医療機関の場合、詳細な情報(治療内容、費用、リスク・副作用)の記載が必須です。
  5. 不適切な表現は、たとえ「個人の感想です」といった注釈があってもNGである
  6. 曖昧な言葉や誤解を招く言葉(例:「浸透」は「角質層まで」と明記するなど)は具体的に記述する.
  7. 広告全体のニュアンスが重要であることに留意する。言葉や文面だけでなく、構成、説明の文脈、媒体の特性(スペース、活字の大きさ、音声、画面の組み合わせ)も考慮する必要があります.

まとめ:正しい知識で信頼される発信を

今回の記事では、SNSでよく見かけるNG広告表現について解説しました。

  • 薬機法と医薬品等適正広告基準は、SNSを含むすべての媒体での広告に適用される
  • 効果・効能の保証、最大級の表現、具体的な体験談やビフォーアフター写真など、消費者に誤解を与えるおそれのある表現はNG
  • 特に化粧品は、その定義(身体への作用が緩和)の範囲を逸脱するような表現(例:若返り、痩身、育毛)は認められない。

SNSでの情報発信は、多くの人に情報を届けることができる素晴らしいツールです。しかし、その影響力ゆえに、誤った情報や誇大広告が消費者に与える影響も大きくなります。

あなたの発信が、誰かの健康や美容に貢献するためにも、薬機法や各ガイドラインをしっかりと理解し、「事実に基づいた正確な情報」を伝えることを心がけましょう。そうすることで、消費者の信頼を得て、業界全体の健全な発展にも繋がるはずです。

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